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トラックドライバーが体験した怖い話、危険な話を漫画で紹介する「トラックドライバーの怪談」が、Twitterで話題になっている。WEBメディア「オモコロ」で連載されている
この作品
は、毎日何百キロもの長距離を走るドライバーたちならではのエピソードを、作者・ぞうむしプロさん(@zoumushi6)が独特の切り口で漫画にして伝える。
背筋が凍るような心霊現象から大事故につながりかねないエピソードまで、さまざまな「怪談」を紹介するぞうむしプロさんに、なぜトラックドライバーという一風変わったテーマで漫画を描くことになったのかを聞いた。
「小学校5年生くらいから友だちとノートに漫画を描いたりしていましたが、作品として本格的に漫画を描き始めたのは16歳のころ。19歳で初めて編集者に見てもらいましたが、『絵が下手』とバッサリ。それからは描いては落選、描いては落選という日々が続き、10年が経ってもトラックドライバーとして働きながら漫画を描いて編集部に送り続けていました」と、ぞうむしプロさんは漫画を描き始めたきっかけを語ってくれた。
絵が下手と言われ続けたが、それでも諦められない漫画家への道。漫画の原作者になることも考えたが、絵も自らが描く、あくまで「漫画家」にこだわり続けたぞうむしプロさん。
「元々はオモコロ編集部にエッセイ漫画を投稿したことが、インターネットで描くきっかけとなっていまして、編集の方と『次何を描こうか?』と企画の打合わせをしている時に、『トラックドライバーの怪談』が誕生しました。オモコロへの掲載が決まった時は、人生で5番目に入るくらいうれしかったです」
より多くの方に「トラックドライバーの怪談」を読んでもらいたいと思い、自らのTwitterアカウントでも作品を投稿するようになったそう。たちまち話題になり、最大で約1750万回ものインプレッションがあったことも。
トラックドライバー歴約25年のぞうむしプロさんが描く「トラックドライバーの怪談」は、物流センターの詰め所(控え室)に集まるドライバーたちの雑談を、スマホでメモして漫画にした作品。
あるドライバーが語るのは、山奥に猟銃を届けに行った際の出来事。届け先の主人にカレーのような料理をごちそうになり、あまりのおいしさに後日会いに行くと、家ごとなくなっていて…と言う話。ホラー漫画なので読者からは「怖い」といった反応が多いが、中には「おもしろい」と言う感想もあり、そういったコメントはとてもうれしいとぞうむしプロさんは言う。
「おっちゃんたちの話がおもしろくて、ドライバー仲間から聞いた不思議、おもしろ体験がネタになっています。何気ないひと言を膨らませて、一つのエピソードにしたり、場所や状況などシチュエーションを変えたりして、漫画になるようにアレンジしています。また、ドライバーから聞いた話だけではなく、知り合いから聞いた日常に起こった不思議な話なども参考にしています。少し怖い見た目をしているけれどお茶目なTさん(48)など、登場するドライバーさんたちは大半はいろいろな人を混ぜていますが、実在の方に似ているキャラクターもいます」
「トラックドライバーの怪談」以外に、個人的に描いている作品「都道府県列伝!ばってん同期の九州男くん!」を、20年11月からTwitterで発表している。地方方言を題材にした漫画で、東京生活10年目なのに九州の方言が抜けない男を描いている。ちなみにぞうむしプロさんは九州在住だ。
「コンセプトがはっきりとした漫画を描きたいと考えていて、テーマとして『方言』がおもしろそうだなと思い描き始めました。描くうえで気をつけていることは、その地方の人に『分かる〜』と共感して、喜んでもらいたいので、実際に使われているニュアンスになるよう、自分なりにしっかり調べることです。最近は更新が滞っていますが、描くことにまったく辛さはなく、楽しいという思いしかありません」
小さなころから特に粘土と絵を描くことが好きで、親戚に冨田溪仙という画家や漫画家のおじがいるぞうむしプロさん。創作意欲があふれ出すぎて「小町小造」と言う会社を立ち上げ、昆虫、仏像、恐竜などをモチーフにした洋服製作、デザイン業も手がけている。
今後は「エピソードがまだまだある『トラックドライバーの怪談』の新作のほか、企業案件の漫画を描いていく予定です。戦国時代などの歴史物にも挑戦してみたいですね。読んでもらえるだけでとてもありがたいのに、コメントやリアクションまでくれる読者様のために、これからもおもしろいと言ってもらえるような漫画を描けるようにがんばります!」
取材・文=日高ケータ(エフィール)
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