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この記事は2022年夏休み特集のものです。最新トピックスはこちら
新型コロナウイルスの影響や、全国的な猛烈な暑さで、夏休みもなかなかおでかけの予定が立てられないという人が多くなりそうな今年の夏。そこでウォーカープラスでは、夏に読みたい漫画を特集。今回は、南極観測船「ふじ」の活躍や日々を描いた、ふくのうみ(@
umi_sousaku
)さんの漫画『ふじと南極のなかまたち』を紹介したい。
2代目南極観測船、そして本格的な南極砕氷艦としては日本初の船として昭和40年(1965年)に竣工した「ふじ」。ふくのうみさんは、ふじと南極観測隊のさまざまな姿を、実話とフィクションを交えて漫画としてSNS上で発表してきた。
中でも2018年に投稿され、5万以上のいいねを集めた作品が、ふじがはじめての南極に到着した際の“試練”を描いたエピソードだ。
氷に覆われた南極大陸にあって、砕氷艦は海上に広がる氷を砕き目的地へと進んでいく。後退と全力前進を繰り返しながら、舳先を氷にぶつけて割り進んでいく「チャージング」をしている最中、ふじの行く手を阻むものがあった。
それは砕氷艦でも割れないほどに分厚く硬い氷……ではなく、南極に暮らすペンギン。船の先に立ち、突然現れたふじの船体を、アデリーペンギンの群れがじっと見つめてたたずんでいたのだ。
そのまま進むことはできないため、サイレンを鳴らして危険を知らせ、ペンギンたちに去ってもらおうとするふじ。けれど、ペンギンはサイレンに動じることなく、変わらずふじをしげしげと眺めるばかり。根負けしたふじは、前進をあきらめ氷に船体を横付けせざるをえなかったという挿話だ。
「ホッコリした」、「実話なんですね!」と、ペンギンのラブリーな生態や、あまり知られていない南極観測での意外な困難がユーザーにヒット。同シリーズではこのほか、ヘリポートに集まってしまったり船に飛び乗ったりと自由気ままなペンギンと観測隊との関係や、観測隊の任務と基地での日常、ふじの出港から任務終了までを追う形で描いている。
2022年6月には、「ふじと南極のなかまたち」(上・下)の2巻が同時書籍化された本シリーズ。単行本として刊行する際には、欄外のミニコラムなどを加筆し、図鑑やガイドブックのような楽しさも増したという。
そんな本作が生まれたきっかけは、ふくのさんが地元である名古屋港に係留されているふじに興味を持ったことにはじまる。もともと昔の船が好きだったものの、南極には詳しくなかったというふくのさんだが、ふじとの出合いを機に、南極観測船の活躍を調べ始めたのだという。
その後、南極関連の書籍や資料で得た情報を参考に、南極で実際に起きた出来事をベースに漫画として執筆。ペンギンのどこかとぼけた表情などユーモラスな絵柄ながら、ふじについては公開されている船内をくまなく描くようにこだわったそう。また、フルカラーで制作する中で、“主役”であるふじのオレンジ色の船体が一番鮮やかに目立つようカラーバランスにも意識したとふくのさんは語る。
南極観測を「地球の秘密を知りたいという熱い思いが受け継がれてきた、リアルタイムで、ホットで、わくわくする興味深い世界」と語り、展示されている南極観測船「ふじ」の存在が、そうした遠い彼方の南極と、そこで活躍する人々がいると実感させてくれると話すふくのさん。
「漫画はフィクションですが、『ふじ』は実際に名古屋港にいて、いつでも誰でも見学可能です。また、東京の船の科学館では初代観測船の『宗谷』が、千葉では『SHIRASE(5002しらせ)』が保存されています。本物の南極観測船を見て、南極への旅を想像するきっかけのひとつに、この漫画を加えていただければ幸いです」と、作品への想いを語ってくれた。
なお、2022年6月17日から8月31日(水)までは、名古屋港にある南極観測船ふじの船内にて「ふじと南極のなかまたち」の原画展も開催中。この夏は漫画をきっかけに、「世界の果て」である南極に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
取材協力:うみ(@umi_sousaku)
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