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この記事は2023年夏休み特集のものです。最新トピックスはこちら
夏といえば怖い話!夏休み中に読みたいホラー漫画、今回はエレベーターの怖い話をお届けしよう。エレベーターに乗っているとき、「もし突然止まったらどうしよう」「一緒に乗っている人が変な人だったら…」など、ふと不安をおぼえることはないだろうか…。人間は、逃げ場のない閉鎖空間を本能的に恐れているのかもしれない。そんな「エレベーター」内で起こる恐怖を描いた、漫画家・柏木大樹(
@kasiwagidaiki
)さんの短編作品を紹介する。
ある女性がエレベーターに乗り扉が閉まるのを待っていたところ、「乗りまぁす」と1組の家族が乗り込んできた。「親子連れ…ならいいか」と扉を閉める女性。エレベーターが昇り出すと、突然、ガコンという音とともに急停止した。
女性が慌てて非常ボタンを押そうとすると、なぜか父親とおぼしき男性が手をつかんで制止する。その後、肩をつかまれエレベーターの真ん中へと押し出された女性。周りを見ると、なんと家族4人がそれぞれ四方から女性を見つめている。底知れぬ恐怖を感じ電話で助けを求めようとするが、4人は「あ」「あ」「あ」と声を上げながらどんどんと近づいてくる。
4人の顔がいよいよ目の前に迫ったところ、天井の点検口がふいに開いた。エレベーターの異常を管理会社が察知し、作業員が来てくれたのだ。その出来事以降、女性はエレベーターを一切利用しなくなった。
しかし、大事なデートで64階のレストランへ行くために、再びエレベーターに乗ることになり――。
エレベーターという身近なを恐怖を描いた本作と打って変わり、「抱っこされてみたい父親の話」やお笑いコンビ・土佐兄弟とコラボした「
とさのたね
」など明るく愉快な物語まで、幅広い短編漫画を毎月公開し人気を博す柏木さん。自身の作風の幅について、スタンスを伺ってみた。
「『短編漫画』という大きな括りの中で描いているので、どんな話を描いているときも感覚的にはあまり変わりません。ネームやプロットを作らず、行き当たりばったりで描いているので、そのつもりはなかったのに描き終わってみればホラーやバッドエンドになっていた、という場合も割とあります。地味だけどいろんな色の花が咲いてる花壇だと思って読んでもらえればいいと思います」
どの作品もフラットに描いているものの、描き終えた後、キャラクターに小さな罪悪感を覚えることがあるという。
「『陽』を描いてるときも『陰』を描いてるときも、感覚やモチベーションにそれほど差はないのですが、描き終わったあとに登場人物に対して『悪いことをしてしまったな』という気持ちは少し発生しますね、特に死なせてしまったときなどは。なので供養も兼ねて、毎年最後に、その年描いた短編漫画のキャラクターたちが楽しく集合している絵を描いてます」
ホラー、バッドエンド、コメディと固定観念にとらわれることなく縦横無尽にストーリーを紡ぐ、柏木さんの短編漫画の世界。毎月15日にFANBOX限定で、毎月末にはpixivやTwitterで作品をアップしている。この夏休みにじっくり読んでみてはいかがだろう。
取材協力:柏木大樹(@kasiwagidaiki)
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