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猛烈な暑さが続く今年の夏。ウォーカープラスではこの季節にぴったりのホラー漫画を特集。今回は、的野アンジ(
@matonotoma
)さんの漫画「僕が死ぬだけの百物語」(小学館)の一篇、第十九夜「八尺様」を、作者の的野さんのコメントとともに紹介する。
「僕が死ぬだけの百物語」は、作者は「少年サンデーS(スーパー)」および「サンデーうぇぶり」で連載中のホラーオムニバス漫画。「八尺様」は、単行本第2巻に収録されたエピソードだ。
小学校の校庭に落ちていた帽子に気づいた少年が、コンクリート塀の向かい側にいた女性に手渡したところから物語は始まる。女性は少年の頭をすっぽり覆えるような大きな手を伸ばすが、それを見ていた友人に「あれはきっと“八尺様”だよ」と諭される。
都市伝説として有名な「八尺様」は、その名の通り八尺(約2.4メートル)の長身の女性で、気に入った子どもを連れ去ってしまうという妖怪だ。「背だって普通だったし」と反論する少年だが、友人は塀の向こう側が下り坂になっていて、それを超えて顔が見えているのは並外れた長身だと指摘する。その言葉に怯えた少年は、あの女性をただの人だと思い込もうとするが――、というストーリー。
作者の的野アンジさんがX(旧Twitter)上に同話を掲載した際は、1.9万件を超えるいいねとともに、「ガチな方の八尺様」「八尺様はホラーだったことを忘れてました」と、二次創作などで好意的に描かれることも多い八尺様の本来の恐怖に震えるコメントが多数寄せられた。
今回紹介した短編のようにネット発の都市伝説を下敷きにした作品をはじめ、地域の因習や心霊現象、時に切ない悲劇まで幅広い題材で描かれる同作。作者の的野さんは「初めての長期連載だったので、続きものよりも一話で完結する方がやりやすいと思いました。ホラーでオムニバスと考えると百物語が一番しっくりきました」と、語り手の少年「ユウマ」による百物語として描く形式を取り入れたと話す。
各話のアイデアは「『怖いことってなんだろう…』をずっと考えながら辺りを見渡しています」と、身近なものからインスピレーションを得ることが多いという的野さん。「漫画の中だけのお話になってしまわないよう、郵便受けや鏡など、なるべく身近なものをテーマに置いています。読んだあとにも気になったり、嫌な気持ちになっていただきたいです」と、フィクションと現実の接点を意識した作劇をしていると教えてくれた。
また、各話の冒頭と結びには百物語を披露するユウマの場面が描かれ、こちらは一本のストーリーが展開している。「一度目は気に留めなかったことも、幾度か読むうちに違和感に気がつくかもしれません。毎回のお話と共に観察し、楽しんでいただければ幸いです」と、的野さんは同作のもう一つの楽しみ方についてコメントを寄せた。
取材協力:的野アンジ
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