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任天堂が販売している携帯ゲーム機「Nintendo Switch」用ゲームソフト『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』。
価格はパッケージ版が3480円、ダウンロード版が2980円。発売前から「気になる!」とネットでも話題になっていたこのゲーム。難しそうと敬遠されがちなゲームプログラミングが、カンタンに楽しめるということで実際にプレイしてみた。
『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』は、数多くの名作ゲームを手掛けた任天堂の開発室から生まれたプログラミングソフト。プログラミングというと、テキスト(コード)を記述すると思いがちだが、このゲームは、オブジェクトを視覚的に組み合わせて行うもの。
具体的には、ノードンと呼ぶ、Nintendo Switch内に住む「不思議な生き物」を駆使してゲームのプログラミングを行う。
ゲーム内は、ナビゲーションに従ってゲームプログラミングが体験できる「ナビつきレッスン」と、自由にゲームをつくることができる「フリープログラミング」の2種類のモードが用意されている。ナビつきレッスンは、いわば取扱説明書のようなものなので、課題を通して、操作方法はもちろんのこと、プログラミングの基本的な考え方を学ぶことができる。
レッスンは全部で7種類。アクションゲームからシューティングゲーム、謎解きにカーレースまで、内容はさまざま。これを習得すれば、あとは自分の創意工夫でオリジナルゲームを作ることができるだろう。
早速に試してみることにした。プログラミングは、実際のゲーム画面とプログラムを記述する(ノードンを配置する)画面の2種類を行き来しながら行う。
ノードンはそれぞれに働きがあり、大きく「入力」「中間」「出力」「モノ」の4種類に分類される。
「入力」ノードンは、動きを発動させる条件を設定する。たとえば、「ボタンが押された」ことを伝えるボタンノードンや「かたむけられた」ことを伝えるかたむきノードンなどがいて、それぞれ指定されたアクションが行われると、次のノードンへと伝える役割を持つ。
「中間」ノードンは「入力」後の条件や動きをさらに細かく指定するもの。「〇分後にアクションする」というようなタイマーを設定するタイマーノードンや、「指定するオブジェクトの色を覚える」スポイトノードン、「〇〇“じゃない”ものを選ぶ」NOTノードンなどがいる。
「出力」ノードンでは、「入力」「中間」で設定された条件を満たした場合、どんな動きを起こすかを設定する。音を鳴らすノードンはその名の通り「指定された音を鳴らす」、重力を減らすノードンは「指定されたオブジェクトを浮遊させる」ことができる。
最後に「モノ」ノードンは、指定するオブジェクトや動きを設定するものだ。ヒトノードン、クルマノードン、UFOノードンなど、それぞれの「モノを出して指定された動きを実行する」タイプや、うごかせるモノノードンのように「指定したものを指定した方向に動かす」、モノを発射ノードンのように「指定されたモノを発射する」、エフェクトノードンのように「“爆発する”などエフェクトを実行する」といった実行する動きを指定するタイプなどがある。
そこで、たとえばスティックを動かす「入力」ノードン、スティックノードンと、人のキャラクターの「モノ」ノードン、ヒトノードンを線でつなげる。そうすると、ゲーム画面上のヒトの形のキャラクターが、スティックで動くようになるのだ。
この要領で、壁を作ったり、仕掛けを配置したりするほか、時間やタイミングなど、細かい設定を与えて、ゲームバランスを調整していく。一見難しそうに思えるが、やってみると簡単で、キャラクターが動くだけでも感動する。モノづくりの基本である「作る歓び」をゲームで味わえた。チュートリアルでゲームを完成させてみると、思ったより簡単に作り上げられたことに驚くとともに、なによりできた歓びはひとしおだ。
擬人化されたノードンたちは、実に親しみやすく、また漢字にはルビがふられているなど、小学校低学年でも扱えるようになっているのも好印象。専門用語も少ないので、普段ゲームに親しみのない人でも、すんなりと取り組むことができる。
また、Nintendo Switchのソフトなので、場所を選ばずにプログラミングができるのも良いところ。外でプログラミングできるのはもちろんのこと、テレビと接続し大画面でプログラミングをすることもできるので、家族みんなで考えることもでき、知育教育にも使えるかもしれない。
パッケージ版には「ノードンふりかえりカード」が付属しており、ゲームをしていない時にも、ノードンの機能や使い方を確認することができる。単なる取扱説明書のような使い方はもちろん、カードゲームの要領で、プログラミングをする前に考えをまとめるのにもよいだろう。
フリープログラミングでは、ゲーム側が用意しているキャラクターのほかに、自分で描いたキャラクターを操作したり、絵を描いて背景にしたり、BGMをつけたりと、思いのままに表現することもできる。自由度が高いので、使いこなせばオンリーワンのゲームを生み出すことだって夢ではない。
こうして作り上げたオリジナルのゲームは、インターネットやローカル通信で公開することもできる。たとえば夏休みの自由研究として「Nintendo Switch用のゲームを作成して公開した」という使い方もできそうだ。
プログラミング言語は独自だが、ビジュアル環境下でオブジェクトを紐づけ、細かく設定をしてプログラムを作りあげる工程は、実際のプログラミングそのもの。なにより、「順序立てて考え、試行錯誤し、ものごとを解決していく」というプログラミング的思考を、遊びながら養うことができる。
プログラミング教育は2020年から小学校で必修化されたほか、2024年から始まる大学入学共通テストでは、プログラミングなどの情報科目を導入する方針ともいわれている。だが、プログラミング的思考は学校教育で身につくほど簡単なものではない。このNintendo Switch用ゲームソフト『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』は、大人が愉しむのはもちろんのこと、子供の将来への準備にも役立つこと間違いナシのゲームといえるだろう。
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