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「ビッチャ」は東北地方の言葉で赤ん坊という意味があり、「オヤビッチャ」は、“親になっても赤ん坊のように小さい体”が名前の由来だとも言われている。北海道〜九州の、特に太平洋側に多く生息していて、サンゴ礁域の浅海や、潮だまりに棲んでいる。成魚は群れで海中にいるため、磯遊びで見つけられたらラッキーだ。
ちなみにオヤビッチャは死滅回遊魚の1種。死滅回遊魚とは、海流に乗って本来の生息地ではない海まで運ばれてしまう魚。そのため、多くの場合は冬を越すことができない。
おいしいウニとしても有名な「ムラサキウニ」。本州中部〜九州にかけて生息していて、国内で最も一般的に見られるウニの1種だ。九州の一部地域では「クロウニ」と呼ばれることもある。
大きさは直径5センチ程度。特徴的な長いトゲは1本ずつ動かすことができる。毒などは特にないが、トゲは折れやすいため、うっかり踏んでしまわないように注意が必要だ。
日本沿岸でよく見られるクラゲで、世界中の広い範囲に生息している「ミズクラゲ」。透明な傘を広げたような形が特徴で、最近では水族館でイルミネーションと併せて展示されていることも多い。漢字では「水海月」と書き、水面を漂う姿はまるで満月のようだ。
傘の縁に細い触手がたくさんあり、これでプランクトンなどのエサを捕まえる。毒性は弱いものの、海で見かけても触らないようにしよう。
関東以南では4~5月、東北地方では7~9月に見られることが多い「アカクラゲ」。長く伸びた触手にある刺胞の毒性が強く、刺されると非常に痛い。アカクラゲが乾燥して粉になったものを吸い込むとクシャミが止まらなくなることから、「ハクションクラゲ」とも呼ばれる。
浅瀬にも漂っているので、サーフィンや海水浴などで刺される人が多い。死んでも毒性がなくならないため、海岸や岩場などに打ち上げられているアカクラゲを発見しても、絶対に触ってはいけない。
北海道と沖縄を除く日本各地の沿岸に生息している「ハオコゼ」。岩礁や海藻、アマモ場、潮だまりなどに棲んでおり、釣りで出合う機会も多い。
背ビレに毒性のあるトゲを持っているので、細心の注意が必要。ハオコゼのトゲは細く鋭いので、刺さりやすいそうだ。刺さった場合、激しい痛みを感じる。また、ハオコゼが死んでも毒は残るので、見つけても触らないように。
最後に、磯遊びをする際の注意事項を、今回の取材に協力してくれた「名古屋港水族館」(愛知県名古屋市)のスタッフに聞いた。
ここまで書いたように、磯遊びで出合う生き物のなかには、トゲがあったり毒を持っていたりするものもいる。そのため、まずは絶対に裸足で遊ばないこと。ビーチサンダルもNGだ。足元は長靴やダイビングシューズなどがおすすめ。服装はラッシュガードなどの長袖・長ズボンに、軍手を着用するとよい。また、熱中症対策も怠らないようにしよう。
そして、磯遊びの場所となる岩場や潮だまりは、生き物たちの家でもある。小さな生き物たちからすれば、人間はいわば怪獣のようなもの。優しく、敬意を持って接することが大切だ。例えば石を動かすときはそっと動かし、観察が終わったら元に戻してあげよう。
海の生き物についてしっかりと理解を深めて、安全に夏の磯遊びを楽しもう!
取材・文=民田瑞歩/撮影=古川寛二
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