
東京都
夏の草花で彩られた立体花壇や、江戸から昭和までの各時代をイメージした景色など、花と光の演出が楽しめるライトアップイベント「『花と光のムーブメント』 小金井公園 ~刻(とき)を紡ぐ、夏の浪漫~」が、東京都小金井市の小金井公園にて2025年7月18日~8月3日(日)に開催される。
「~刻を紡ぐ、夏の浪漫~」というテーマの通り、ライトアップのモチーフとなっているのは、江戸から明治、大正、昭和とこれまで紡がれてきた各時代。夏の植物をメインモチーフに、刻々と移り変わってきた時代の息吹が幻想的な花のデコレーションとライトアップによって優美に表現される。
江戸東京たてもの園ビジターセンター(旧光華殿)には、鮮やかな花のプロジェクションマッピングが施され、それだけでも幻想的なライトアップとなっている。加えて、イベント案内板にあるQRコードにカメラをかざせば、カメラ越しにAR花火が音を立てて空に打ちあがる演出もあり、伝統と遊び心が溶け合ったユニークな仕掛けとなっている。また、園路の両側には、夏の風物詩・朝顔に包まれた回廊が登場し、「魅せる江戸の納涼」として、昔から夏を彩ってきたそれぞれの要素をうまく取り入れた幻想的な空間となっている。
文明開化により和と洋の交差が進んだ明治をイメージしたライトアップは、東屋に登場。幻想的な庭園をイメージした装飾や、レトロなステンドグラスの輝きや、ほんのり灯るガス灯、ふわりと舞う蛍の光などをイメージした浪漫を感じさせる演出が施される。天井いっぱいに咲きこぼれる花々と心地よいミストとともに、優雅なひと時を過ごせる「和魂洋才の幻想庭園」に癒やされよう。
「タイムトラベル大正浪漫」として蒸気機関車展示場に登場するのは、夏の風物詩のひまわりにモダンな大正柄、そして緋毛氈(ひもうせん)が敷かれたSL階段。ガス灯を模した柔らかな光とSLの幻想的なライティングで、明治から大正、昭和を駆け抜けてきた蒸気機関車がひまわり畑を駆け抜けるように令和の時代に現れる様子は、過去から現代へと紡がれてきた「夏の浪漫」をぴったりと表現している。昼にも、澄んだ青い空と鮮やかなひまわりの黄色のコントラストが楽しめるそうなので、ぜひ昼夜異なる夏の景色を楽しんでみてほしい。
今回は「花と光のムーブメント」の装飾を担当している株式会社日比谷花壇の担当者に、イベント実施の狙いや、テーマの背景、イベント開催に向けて困難だったことなどについて話を聞いてみた。
――「花と光のムーブメント」実施の狙いやターゲットを教えてください。
「花と光のムーブメント」は都立公園に新たな魅力ある大規模花壇を創出し、四季を通じた花と光の演出を行う東京都主催の特別プログラムです。この夏は小金井公園を、江戸から昭和までの各時代をイメージした花と光で彩ります。
また、期間中の8月2日(土)・3日(日)には園内にある江戸東京たてもの園でも夜間特別開園「たてもの園下町夕涼み」も行われます。いつも小金井公園をご利用いただいている皆様や、このイベントをきっかけに初めて小金井公園を訪れていただく皆様に楽しんでいただける企画となっておりますので、ぜひお越しください。
※夜間特別開園の期間は、江戸東京たてもの園ビジターセンターのプロジェクションマッピングの演出はありません。
――今回のイベントの演出のテーマについて詳しく教えてください。
小金井公園は、歴史と豊かな自然を特徴とする公園です。いつの時代にも常に人々の暮らしに寄り添い続けてきた「花」という不変的な存在と、時代とともに変化を遂げてきた象徴とも言える「光」。この対比に着目し、演出の軸とすることで魅力的な表現ができるのではないかと考え、今回の「~刻を紡ぐ、夏の浪漫~」というテーマが生まれました。
――イベントの開催に向けて大変だった点などはありましたか?
実現に向けて特に困難だったのは、会期中に「生花を咲かせて展示する」という点です。夏は、花にとって過酷な季節であることに加え、今年は記録的な高温や異例の早さでの梅雨明けなど、異常気象による環境の不安定さも重なりました。しかし、この困難を乗り越えるため、全国各地の生産者と密に連携を取り、種のまき方から水やりまで、気温や湿度に合わせて細やかな育成管理を徹底し、花枯れを防ぐ努力を続けてきました。
朝顔やトレニア、パンパスグラスなど、来場者の皆様が公園に訪れるタイミングでちょうど見頃を迎えられるよう、開花時期を緻密に調整しています。イベントの華やかさを支える花々を用意できるのは、日々、花や緑と向き合う日比谷花壇ならではの技術と、植物に対する揺るぎない情熱があるからこそ実現できたことだと考えています。
――ほかにも今の季節に見頃を迎える花はありますか?
正面花壇やロータリー花壇に植えられたサルビア、ユリが見頃です。7月後半〜8月にかけてはサルスベリが見頃となります。
――今回のライトアップで来場者に注目してほしいポイントやこだわった点を教えてください。
小金井公園での「花と光のムーブメント」は今回で3回目となります。今回は「夏」ということで、風鈴やミストによる演出も加え、「涼」を感じられるようにしました。また、今年で50周年を迎える蒸気機関車展示場のC57形機関車とスハフ32型客車を彩る、花と光の演出も見どころとなっています。ぜひいつもと違う小金井公園の魅力を感じてください!
――これまでの「花と光のムーブメント」開催時の来場者の反響で印象的だったことはありますか?
花と光のムーブメントは今回で3回目を迎えます。小金井公園は桜の名所でもあることから、初回は、2024年3月に「月と夜桜」をテーマに開催し、同年11月には未来にわたりその成長を見守っていきたい「桜」や「秋」に焦点を当て、四季を感じていただけるような演出を心がけてきました。なかなか散策する機会の少ない「夜の公園」を多くの人が楽しんでくださっていた点がとても印象的でした。
――この記事で初めて小金井公園を知るという読者の方に伝えたい特徴を教えてください。
小金井公園は玉川上水沿いに位置する、面積約80ヘクタールの広大な公園です。この公園の前身は、1940年(昭和15年)の紀元2600年記念事業で計画された小金井大緑地でした。戦後、東宮仮寓所(かぐうしょ)に使用され、また農地解放により敷地の4割を失いましたが、1954年(昭和29年)に都市公園として開園しました。
広々とした草地、それを取り巻く雑木林、桜の園、子どもの広場、弓道場、SL展示、16面のテニスコートと、豊かな内容が特徴です。また、災害時の避難場所や大規模救出救助活動拠点候補地として、防災上の重要な役割も担っています。
――最後に一言お願いします!
猛暑が続いていますが、今回は花や光の演出で涼をお届けします。また、ARによる夜空の花火が楽しめる「仕掛け」もあります。 また、今回のイベントに合わせて、オリジナルの冷たいスイーツ「朝顔かき氷ソフト」や「星のクリームソーダ」などもご用意しました。ぜひ、小金井公園で「夕涼み」あるいは「夜涼み」をお楽しみください!
【「花と光のムーブメント 小金井公園」~刻を紡ぐ、夏の浪漫~ イベント詳細】
■会期:2025年7月18日~8月3日(日)
■ライトアップ時間:各日17時30分~21時
■開催場所:都立小金井公園内(たてもの園前広場、宿根草園、蒸気機関車展示場等)
■料金:入場無料
夏を彩る花々と、江戸から昭和までをイメージした浪漫あふれるライトアップで昼とは異なる姿を見せる小金井公園。昔から紡がれてきた夏の夜の趣深さを感じさせる今回のイベントで、納涼してみてはいかが?
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文=平岡大和
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