夏休みの工作や自由研究は、もはや“小学生の宿題”というより、“小学生の子供のいる家庭全体の宿題”。テーマの選定に始まり、道具・材料の購入、作業の見守り、仕上げの手伝いと、多かれ少なかれ保護者のサポートが不可欠だ。楽しく遊べて、夏休みの工作・自由研究の課題も終わらせることができれば一石二鳥!
とはいえ、「どんなものを作ったらいいか、見当も付かない」という人たちに向けて、低学年・中学年・高学年と、学年別に工作アイデアをピックアップ。100均でそろえられる材料だけで作れるローコストな工作や、 便利なキット、SNSで話題の旬な工作など多彩な工作アイデアだけでなく、自由研究として提出するためのコツも紹介する。ムリなくムダなく、 子供と一緒に保護者も楽しみながら、自由工作に取り組もう!
小学校低学年におすすめの夏休み工作
小学1、2年生は、保護者によるサポートが必要な学年。自由工作そのものに慣れていないため、テーマを決めたり、材料を集めたり、作業の段取りを指導したりと、保護者の出番も多い。とはいえ、できるだけ本人の手で作業させたいので、ここでは「刃物を使わず、安全に作成できる」「初めてでも失敗しにくい」という工作を紹介しよう。
冷凍庫を使わずに野外でアイスクリームを作ってみよう!
<難易度:★☆☆☆☆とっても簡単>
アイスクリーム作りは、キャンプやバーベキュー、ピクニックなど夏のおでかけの際に楽しめて、制作の様子をまとめれば夏休みの宿題としても提出できるといううれしいお手軽体験。刃物を使わないため、幼児から一緒にできるのもうれしいポイント!大人だけでもひと盛り上がりできるうえ、実験要素も強いので子連れにはぜひ挑戦してみて欲しい。チャレンジの際には、食中毒に十分留意し、食材の扱いには細心の注意を払うことを忘れずに!
100均でも材料がそろう!UVレジンアクセサリー作り
<難易度:★☆☆☆☆とっても簡単>
紫外線で硬化する樹脂素材、“UVレジン”を使い、アクセサリーチャームを作ろう!「UVランプを持っていない」という家庭でも、UVレジンは太陽の光を浴びれば固まるのでご安心を。作成手順がシンプルで単純なので、低学年の子供でも作り方をすぐに覚えられるというのが大きなポイント。女子向けと思われがちだが、男子の感性でアクセサリーを作ってみるのもいいだろう。基本の作り方に加え、パーツ選びのコツなどを大公開!
おしゃれスライムを作ろう
<難易度:★★☆☆☆難しいところもある>
もちもちとした独特な感触が人気のスライム。スライムづくりは、小さな子供でも遊び感覚で楽しめる上、着色剤(食紅や絵の具)の種類によって色の付き方に違いがあるので、「これを入れたらどうなるんだろう?」とワクワクしながら作業に取り組むことができる。飾りつけの仕方にも子供ならではの感性や独創性が表れるので、親子で仕上がりを比べてみても楽しそう。
小学校中学年におすすめの夏休み工作
ようやく自由工作に慣れてきた学年だからこそ、少し工夫が必要。定番の工作テーマでも、自分らしいアレンジができるとなお良し!また、そろそろハサミやカッターなどの刃物も安全に使いこなせるようになって欲しい。というわけで、「アレンジや工夫の余地がある」「ハサミやカッターの出番がある」工作をピックアップした。
ペットボトル空気砲&的当てゲームを作ろう
<難易度:★★★☆☆刃物を使う・工夫が必要>
自由工作・自由研究の定番である“空気砲”を、段ボール箱ではなく500ミリリットルのペットボトルで作成。さらに、的(まと)も作り、ひとつのゲームとして提出する。空っぽのペットボトルから勢いよく飛び出してきたのは何?どうしたらより強く撃てる?標的へ確実に当てるには?などなど、さまざまな発見が期待できるほか、ゲームのルールを考案することにも、たくさんの学びがある。また、空気砲や標的の飾り付けにはアートの要素も!
インパクト抜群!お花紙でジャイアントペーパーフラワーを作る
<難易度:★★★☆☆刃物を使う・工程が多い>
ペーパーフラワーとは、運動会や発表会の飾り付けに使われる「お花紙」のこと。基本の作り方をちょっと工夫するだけで、自分だけのオリジナル作品に早変わり。100円ショップにて、すでに蛇腹状に折りたたまれたお花紙と針金のキットを購入すれば、作業がより簡単に!お花紙の色の濃淡や組み合わせ、カットの仕方によって無数のアレンジができるので、どうやったら思い通りの形に仕上がるのか、大胆な発想とひらめき力が試される。
人気ゲームソフトを使って“ゲームプログラミング”をしてみる
<難易度:★★★★☆ゲーム機が必要・慣れるまでに時間がかかる>
コストはかかってもいいから、最新の自由研究をしてみたい、ということであれば携帯ゲーム機「Nintendo Switch」用ゲームソフト『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』を使ってゲームプログラミングをしてみては?「プログラミング」が必修科目になったこともあり、ゲームを通じて学べて宿題としても提出できれば一石二鳥!テキスト(コード)を記述するわけではなく、オブジェクトを視覚的に組み合わせてプログラミングするので、子供にもわかりやすい。ゲームをしているうちにプログラミングが身に着くなんてこんなうれしいことはない!
人気ゲーム「マインクラフト」で有名建築にチャレンジ
<難易度:★★★☆☆ゲーム機器やパソコンが必要・工程が多い>
小学生に大人気のゲームソフト「マインクラフト(以下、マイクラ)」なら、どの子も乗り気で課題に取り組んでくれるのでは?「マイクラ」は、パソコン(Windows、Mac)やスマホ・タブレット、ゲーム機で遊べる、スウェーデン発のゲームソフト。「マイクラ」の世界ではほぼすべてのアイテムが正六面体のブロックで表現され、それらを組み合わせることで、建築物を作ったり、地形を変化させたりできる。初心者向けの工作として、「クリエイティブ」モードを使い、世界遺産にも登録されている金閣寺の舎利殿を建築してみよう。
SNSで話題!夏の伝統和菓子「琥珀糖」を作ろう
<難易度:★★★☆☆時間がかかる・火や刃物を使う場合もある>
SNSで何度も話題にあがる、注目の砂糖菓子「琥珀糖」。砂糖をたっぷり溶かした寒天を小さく切り分け、乾かすだけと作業自体はさほど難しくないけれど、乾燥の工程が必要なので、夏休みのような長い休みを利用するにはぴったり!鍋を火にかけたり、場合によっては包丁の出番もあるため、子供が作る際は大人の見守りが必須。また、数日から1週間ほどかかる乾かす工程では、スペースの確保とほこりがかからない工夫が必要だ。
小学校高学年におすすめの夏休み工作
高学年はさらにステップアップした作品で勝負したい。そこでおすすめなのが、ひと目で手が込んでいるとわかる、見栄えのよいもの。そこで、「作業の工程が多い」「クオリティを上げるために工夫が必要」な工作を紹介する。
まるでホンモノ!宝石ソープを手作りしよう
<難易度:★★★★☆工程が多い・工夫が必要>
グリセリンソープを電子レンジで溶かし、着色して、宝石の原石そっくりのせっけんを作ろう。実際の原石を図鑑などで調べ、観察し、着色剤を混ぜて理想の色を作っていく。コツや工夫するべき部分を自分自身で掴めるほか、デザインのヒントがインターネットに豊富なので、初心者でも挑戦しやすい工作といえる。人体に無害な材料を使えば、作ったせっけんは実際に使用することも可能。(のちのち“消えてなくなってくれる”のは、保護者としてはかなりありがたい!)。
何度も洗って使える布マスクを手作りしよう
<難易度:★★★★★工程が多い・刃物や針を使う>
感染対策として、「新しい生活様式」に欠かせないものとなったマスク。この機会に、世界にひとつだけのオリジナル布マスクを作ってみよう。無料配布されている型紙をもとに、手縫いとアイロンで作成する。ガーゼだけでなく、使わなくなったTシャツやハンカチでも作ることができるので、いろいろな生地でマスクを作って着け心地を比べてみてもよさそう。さらに、マスクの役割や不織布マスクとの違いについても調べてみると、ウイルスに対する子供の意識もよりいっそう高まるかも。
ぷるぷるジェルキャンドルを作ってみよう
<難易度:★★★★☆工程が多い・工夫が必要>
ジェルワックスを使って、ぷるぷるとした質感のキャンドルを作ってみよう。透明という特性を生かし、シェルやカラーサンドを入れてあげると、見た目にもキレイな作品が作れる。溶かしたジェルワックスを耐熱のガラス容器に流し込むだけと簡単そうに思えるが、芯の入れ方やジェルワックスの溶かし方にはちょっとしたコツが必要。完成したキャンドルは飾るだけでなく、使用できるというのもうれしい。
キットで簡単!クリスタルを育てよう
<難易度:★★★★☆時間がかかる・工程が多い>
飾っておくだけでなく、加工してアクセサリーの素材にすることもできるクリスタル。自宅でも簡単に挑戦できるうえ、市販のクリスタル生育キットを使えばよりお手軽。予算も1000円以下とお手頃なのに、想像以上にきれいなクリスタルを作ることができるのでおすすめだ。ただし、完成までに2週間ほど要するので、自由研究などで提出期限があるなら、早めに取り組もう。
ラップの芯で作る万華鏡
<難易度:★★★☆☆刃物を使う・工夫が必要>
定番だけにキットも数多く発売されている万華鏡。手間がかかっているように見えるわりに、すべて1から手作りすることも可能で、想像よりも簡単に作ることができる。刃物を使う工程もあるため、低学年の子供が作る場合は保護者が危険な部分を担当してあげてほしい。
褒められ確実!クロスステッチキットで手芸愛も育む
<難易度:★★★★☆工夫が必要>
夏休み明けの自由工作の展示で、友達から「すごい!」と褒められたい……そんな子供の欲求を満たせる工作に挑戦してみよう。教師を含む大人はともかく、子供目線で「すごい」と感じる工作の条件は、手間がかかっていて、仕上がりが売り物のようにきれいなもの。これを満たすのが、市販の手芸キットだ。
小学校全学年におすすめの夏休み工作
最後は、低学年向けかと思いきや大人でも苦戦するケースがあるため、全学年対象とした工作アイデアを紹介する。創意工夫次第で可能性が広がるので、楽しみながらチャレンジして!
単純作業で達成感が味わえる!割り箸フロアライト
<難易度:★★☆☆☆工夫が必要>
安価で手軽に入手でき、特別な道具を使わずに造形できて、捨てるのも簡単な工作材料といえば、割り箸が挙げられるだろう。ミニチュア建造物の建材にしたり、輪ゴムと組み合わせてゴム鉄砲を作ったりするのが定番だが、おすすめはフロアライトだ。設計図も刃物も不要なので低学年から挑戦でき、単純作業を繰り返すだけで仕上がる。また、それなりに大きいので、工作展示では圧倒的に目立てるというのも利点。
1時間あれば作れるスノードーム
<難易度:★★★☆☆難しいところもある>
「スノードーム」の作り方を紹介。ミニチュアオーナメントが入った小瓶を振ると液体の中を粒状のフレークがゆらゆら動き、まるで雪のように見える置き物だ。冬のイメージが強いが、白い粒を色付きホログラムのフレークに変え、夏らしいオーナメントを飾れば、季節感を演出できるだろう。ドーム型の容器から中に入れるものまですべてセットになったキットも販売されているが、ここではキットを使用せずに作る簡単な方法を取り上げた。
折り紙の発展形「ブックフォールディング」に挑戦
<難易度:★★★☆☆難しいところもある>
「折り紙が大好き」という子におすすめしたいのが、「ブックフォールディング(Book Folding)」。これは本のページを1枚ずつ折ることで側面に立体オブジェを作る、ペーパークラフトのこと。あらかじめ折るべき場所にしるしが付いている「ブックフォールディング“猫” この本を折ると猫ができる!」を活用して、猫を作ってみた。
ストローを編んで作る「正二十面体」
<難易度:★★★☆☆難しいところもある>
「時間が無い中でも見映えのいい工作を作りたい」という時は、100円ショップで材料をそろえられる「正二十面体」を作ってみるのもおすすめ。フィンランドでは、幾何学的な多面体をつなぎ合わせた「ヒンメリ」という飾りが親しまれており、インテリアにもピッタリだ。編み方のパターンさえ理解してしまえば作業自体はそこまで難しくないが、若干集中力を要するので根気強く取り組もう。
どれも保護者の負担が少なく、サクサク終わらせることのできる工作ばかり。大人が手伝えばあっという間に完成するはずだ。しかし、これらはすべて、凝ろうと思えばいくらでも凝ることができるものでもある。子供たちの貴重な夏休みの、貴重な時間を有意義に使うため、この記事が役立つことを祈る。